名言集

ここでは、私が気に入った名言を載せていきます。
名言は心にじんと響きますね。一言でも深い意味を持つのが言葉なんですね。


It's a sin to kill a mockingbird.
このフレーズは、アメリカの小説家Harper Leeが自らの経験をもとに書いたTo Kill A Mockingbirdという本に出てきます。題名とリンクしていますね。
この本は、まだ黒人差別が根強く残っていたころのアメリカ、アラバマ州での話です。
JemとScoutの兄妹を子どもに持つ弁護士のAtticus Finchは、ある日黒人の青年Tom Robinsonを弁護することになります。彼は白人の娘をレイプした廉で告訴されたのですが…　また、子供たちの間では、狂っていて何年も近所の家に閉じ込められているというArther Radleyが"Boo"という名で噂され、恐れられていました・・・

mockingbirdとはマネシツグミのことだそうです。
子供たちのクリスマスプレゼントに空気銃を贈ったAtticusは、二人に「マネシツグミは撃ってはいけないよ。」と忠告しました。
なぜマネシツグミを殺すのが罪になるか。「マネシツグミは何も悪いことはせず、ただ私たちのためにきれいな声で歌うの。私たちを助けようとしているものを傷つけるのは罪なのよ。」と、お隣のMs. Maudieが説明します。

このmockingbirdは比喩になっています。
mockingbirdはArtherやTomを表しています。
外界とのつながりを断たれ、噂だけで狂っていると恐れられるArther。
ただ黒人というだけで、犯してもいない罪をとがめられ、悲惨な死を迎えるTom。
どちらも、ほかの人に迷惑をかけず、それどころか助けようとしていたのに、ただの噂や見た目だけで虐げられます。
そんな人たちをmockingbirdで表し、「悪さをしない、皆を助けようとしようとする人を傷つけるのは罪だ」と言っているのです。

これを知って、私はHarper Leeの表現力に感服しました。
この本を読んで以来、私の頭にはいつもこのシンプルなフレーズが頭にあります。
It's a sin to kill a mockingbird.

また、彼女は一つの本の中にさまざまな差別の問題を織り込んでいます。
黒人や白人、黄色人種に対する差別、狂ってしまった人への差別、貧しい人への差別、ユダヤ人に対する差別・・・
一つの本の中で様々な問題を提示しているのです。
世の中には解決できていない問題ばかりです。特に差別問題は難しく、深刻なものです。
この本を読んで、改めてそのことを考えさせられました。

人は見かけで決めつけてはいけない。いい方にも、悪い方にもです。


To Kill A Mockingbirdはだいぶ前に映画化され、高い評価を受けています。
アメリカ人に「あなたにとってヒーローは誰?」と聞いたら、スーパーマンでもスパイダーマンでもなく、Atticus Finchだという答えが返ってくることがあるそうです。
彼の誠実さと公平さは、まさにヒーローのものだと言えるでしょう。

彼の言葉を頭の中で繰り返すたびに、私は小さくうなずきます。
It's a sin to kill a mockingbird.